
カニサレス(サバデル、1966年生まれ)は、フラメンコギター、スペイン現代音楽で国際的に活躍する音楽家で、その類い稀な音楽性、高度なギターテクニックと表現力は高い評価を受けている。豊かなハーモニーと表現力、ダイナミックな演奏は天才的なアーティストとしての個性と名声を不動のものとし、フラメンコの偉大なアーティストたちと肩を並べて来た。カニサレスのシンプルでピュアーな音使い、物語を語るように心に届いてくる音色は衝撃的でさえある。
幼い頃から、カニサレスの音楽的才能は多くの人の影響を受けながら開花して行った。10歳になるころには、サバデルの音楽院へ、その後テラサとバルセロナの音楽院で音楽を学んでゆく。カニサレスの音楽院時代の頂点を極めたのが、1982年、ヘレスでのナショナル・ギター・コンクールでの優勝だった。「将来を担う新しいギタリストの誕生!」と各界の注目を集め、カニサレスはプロのギタリストとしての道を歩み始めることとなる。
カニサレスが大きな影響を受け、さらにギタリストとしての道を確実なものとしたのは、パコ・デ・ルシアとの共演だった。パコ・デ・ルシアとは、彼のユニット『ソロ・デュオ・トリオ』から『パコ・デ・ルシア・セプテット』に至るまでの10年間(1988年〜1998年)にわたってセカンド・ギタリストとして、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカの劇場で活躍して来た。カニサレスは、パコ・デ・ルシアの名前を世界的に轟かせたアルバム『アランフェス協奏曲』に収録されている『イベリア組曲』の『エル・プエルト』『トゥリアーナ』『エル・アルバイシン』の3曲のピアノ曲をギターに編曲し、そのレコーディングやツアーにも参加していった。
カニサレスの活躍ぶりは、フラメンコという枠を超えた多くのミュージシャンの耳に届き、世界的なアーティストの共演を次々に実現させていった。エンリケ・モレンテ、カマロン・デ・ラ・イスラ、マリア・パヘス、ペペ・デ・ルシア、セラート、アレハンドロ・サンス、ロシオ・フラード、といったスペインのフラメンコ界、ポップ界、映画界のアーティストたち、さらには、ピーター・ガブリエル、マイケル・ブレッカー、アル・ディ・メオラ、ピーター・アースキン、ビンセ・メンドーサ、ザ・チーフタンズなど国際的なアーティストも共演を重ねている。
作曲家としてのカニサレスも、幅広い活躍を見せている。スペイン国立バレエの作品『フェリクス・エル・ロコ(狂気のフェリクス)』(2004年)、『カプリッチョス』(2007年)への作曲、ロシオ・フラード、パコ・ラバルの出演する『ロラ・セ・バ・ア・ロス・プエルトス(港へゆくローラ)』を初めとする映画音楽の作曲、カルロス・サウラ監督の『フラメンコ』への出演でも話題を呼んだ。
2004年のアテネオリンピックの聖火リレーの公式ソングのレコーディングをはじめ、カニサレスがこれまでに世界的なミュージシャンと共演したアルバムは実に100枚を超える。
フラメンコギターの音楽教育活動にも力を入れている。2003年には、カタルーニャの高等音楽院(ESMUC)のフラメンコギター科の教授として迎えられ、現在に至る。
カニサレスは、これまでに4枚のソロアルバムをリリースしている。1枚目のソロアルバム『ノーチェス・デ・イマン・イ・ルナ(イマンとルナの夜)』は、全曲カニサレスの作曲によるフラメンコの作品で、オリジナリティー溢れる傑作として高い評価を受けた。
2枚目のソロアルバム『アルベニス』では、スペインの作曲家イサック・アルベニスのピアノソナタをギターに編曲し演奏した作品。フラメンコ的な味わいを持ったカニサレスの演奏はクラシック界にも新しい旋風を巻き起こし、「ギターの最高傑作」「スペイン音楽の歴史に残る作品」と評された。
3枚目のソロアルバム『プント・デ・エンクエントロ(ミーティングポイント)』は、これまでにカニサレスが共演を重ねて来た友人たちとの再会というコンセプトで創られた。マイク・スタン、ドン・アリアス、パコ・デ・ルシア、エンリケ・モレンテ、エビア、ケパ・フンケーラ、パストーラ・ソレールなどのアーティストが出演している。
4枚目の最新ソロアルバム、「組曲『イベリア』〜カニサレスのアルベニス〜」は、スペインの作曲家イサック・アルベニスの最高傑作であるピアノ作品を、ギターに編曲するという壮大なプロジェクトである。フラメンコの味わいを取入れたカニサレスの演奏は世界各国の評論家や音楽家たちから絶賛され、2008年にはスペイン版レコード・アカデミー賞のクラシック部門で最優秀賞を受賞した。
カニサレスは近年、世界各国の主要な劇場での公演を重ねている。アメリカ、メキシコ、アルゼンチン、ウルグアイ、コロンビア、キューバ、プエルトリコ、イギリス、フランス、イタリア、ポルトガル、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、モンテネグロ、フィンランド、イスラエル、トルコ、モロッコ、チュニジア、日本等世界各国での公演は、絶大な支持を得ている。