カニサレスギタリスト、作曲家
フアン・マヌエル・カニサレス(サバデル、1966年生まれ)は、フラメンコギター、スペイン現代音楽で国際的に活躍する音楽家で、その類い稀な音楽性、高度なギターテクニックと表現力は高い評価を受けている。
豊かなハーモニーと表現力、ダイナミックな演奏は天才的なアーティストとしての個性と名声を不動のものとし、フラメンコの偉大なアーティストたちと肩を並べて来た。カニサレスのシンプルでピュアーな音使い、物語を語るように心に届いてくる音色は衝撃的でさえある。
幼い頃から、カニサレスの音楽的才能は多くの人の影響を受けながら開花して行った。アンダルシア出身の両親のもと、兄のラファエルから初めてギターの手ほどきをうけた。10歳になるころには、サバデルの音楽院へ、その後テラサとバルセロナの音楽院で音楽を学んでゆく。
カニサレスの音楽院時代の頂点を極めたのが、1982年、ヘレスでのナショナル・ギター・コンクールでの優勝だった。「将来を担う新しいギタリストの誕生!」と各界の注目を集め、カニサレスはプロのギタリストとしての道を歩み始めることとなる。
カニサレスの活躍ぶりは、フラメンコという枠を超えた多くのミュージシャンの耳に届き、世界的なアーティストの共演を次々に実現させていった。エンリケ・モレンテ、カマロン・デ・ラ・イスラ、マリア・パヘス、ペペ・デ・ルシア、セラート、アレハンドロ・サンス、ロシオ・フラード、といったスペインのフラメンコ界、ポップ界、映画界のアーティストたち、さらには、ピーター・ガブリエル、マイケル・ブレッカー、アル・ディ・メオラ、ピーター・アースキン、ビンセ・メンドーサ、ザ・チーフタンズなど国際的なアーティストも共演を重ねている。
カニサレスが大きな影響を受け、さらにギタリストとしての道を確実なものとしたのは、パコ・デ・ルシアとの共演だった。パコ・デ・ルシアとは、彼のユニット『ソロ・デュオ・トリオ』から『パコ・デ・ルシア・セプテット』に至るまでの10年間(1988年〜1998年)にわたってセカンド・ギタリストとして、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカの劇場で活躍して来た。
カニサレスは、パコ・デ・ルシアの名前を世界的に轟かせたアルバム『アランフェス協奏曲』に収録されている『イベリア組曲』の『エル・プエルト』『トゥリアーナ』『エル・アルバイシン』の4曲のピアノ曲をギターに編曲し、そのレコーディングやツアーにも参加していった。
パその後、カニサレスはソリストとしての活動を主に行うようになり、これまでに3枚のソロアルバムをリリースしている。一方で各界のミュージシャンとコレボレーションしたアルバムは実に100枚を超える。
1枚目のソロアルバム『ノーチェス・デ・イマン・イ・ルナ(イマンとルナの夜)』は、全曲カニサレスの作曲によるフラメンコの作品で、オリジナリティー溢れる傑作として高い評価を受けた。
2枚目のソロアルバム『アルベニス』では、スペインの作曲家イサック・アルベニスのピアノソナタをギターに編曲し演奏した作品。フラメンコ的な味わいを持ったカニサレスの演奏はクラシック界にも新しい旋風を巻き起こし、「ギターの最高傑作」「スペイン音楽の歴史に残る作品」と評された。
3枚目のソロアルバム『プント・デ・エンクエントロ(ミーティングポイント)』は、これまでにカニサレスが共演を重ねて来た友人たちとの再会というコンセプトで創られた。マイク・スタン、ドン・アリアス、パコ・デ・ルシア、エンリケ・モレンテ、エビア、ケパ・フンケーラ、パストーラ・ソレールなどのアーティストが出演している。
4枚目の最新ソロアルバム、『イベリア組曲〜カニサレスのアルベニス〜』は、スペインの作曲家イサック・アルベニスの最高傑作であるピアノ作品を、ギターに編曲するという壮大なプロジェクト。2007年は同作品作曲の100周年にあたり、フラメンコの味わいを取入れたカニサレスの演奏は世界各国の評論家や音楽家たちから絶賛されている。
作曲家としてのカニサレスも、幅広い活躍を見せている。スペイン国立バレエの作品『フェリクス・エル・ロコ(狂気のフェリクス)』への作曲、ロシオ・フラード、パコ・ラバルの出演する『ロラ・セ・バ・ア・ロス・プエルトス(港へゆくローラ)』を初めとする映画音楽の作曲、カルロス・サウラ監督の『フラメンコ』への出演でも話題を呼んだ。
近年では、2004年のアテネオリンピックの聖火リレーの公式ソングのレコーディングを手がけ、同年にはレオ・ブローウェルの「レオ・ブローウェル・国際ギターフェスティバル」に招待され、「フラメンコの夜」と題した一夜で大成功をおさめる。
2005年からはクラシックギタリストのホセ・マリア・ガジャルドとの新しいプロジェクト『マノ・ア・マノ』のツアーを開始。ニューヨークのカーネギーホールでのコンサートを始め、ヨーロッパ、アジアで公演を続ける。2005年には、日本の愛知万博のスペインパビリオンの主催するコンサートに参加し、日本の観客から拍手喝采をあびた。
2007年には、スペイン国立バレエ団のフラメンコ演目の最新作『カプリッチョス』の作曲を手がけた。カニサレスの、スペイン国立バレエ団への2度目の作曲となり、マドリードでの初演には、招待アーティストとして特別出演。各メディアからの注目を集めた。
ツアーやレコーディングと同時進行して、フラメンコギターの音楽教育活動にも力を入れている。2003年には、カタルーニャの高等音楽院のフラメンコギター科の教授として迎えられ、現在に至る。教授経験の中から生まれた独自のギターメソッドを用いたフラメンコギターのマスタークラスも、ヨーロッパ、中南米、日本など多くの国で人気を集めている。

ここからカニサレスのプロフィールをダウンロードできます。
|